Smiley face
写真・図版
今年の全国高校野球選手権の関東第一(東東京)戦で本塁打を放つ日大三(西東京)の田中諒=小林一茂撮影

 高校野球で昨春から使用されている「低反発バット」。旧基準のバットより反発力が抑えられ、飛距離が出にくくなっている。

 新基準のバットには、どのような特性があり、導入2年目の高校野球で、どんな傾向が見られるのか。

 筑波大硬式野球部監督で、新基準と旧基準のバットを比較研究した川村卓教授(動作解析)に聞いた。

――新基準のバットは最大直径を64ミリ未満と、従来より3ミリ細くし、また打球部の金属を肉厚にすることで反発を抑制しています。比較したデータから、どんな特性が見られたのでしょうか。

 「同じメーカーの、新基準と旧基準の比較的似ているバットを使ってデータを集めました。ほぼ同じスイングスピードで打球速度をそれぞれ計測した変換効率(打球速度÷スイングスピード)を比較すると、新基準は平均打球速度が時速約8キロ低下して、旧基準の方が飛距離が出やすいことが分かりました」

――新基準の低反発バットでは、どうして打球速度が落ちるのでしょうか。

 「理由の一つとして『トランポリン効果』が考えられます。バットに球が衝突した時、バットも金属製なので若干たわみます。それが元に戻ろうと反発する力で球ははじき返されます。これを一般的に『トランポリン効果』と呼んでいますが、新基準のバットは、そのたわみがあまり見られず、打球速度が出なくなっていました」

――ほかに、どんな特性が見られますか。

 「バットの打球速度が出る部…

共有